私たちの身近な葉野菜として有名な“ほうれん草”。
懐かしのアニメーションでは、ほうれん草を食べた主人公が、途端にパワーアップする姿が描かれたりもしていますね。
一般に栄養価が高いとか、貧血に良いなどと言われるほうれん草ですが、素材が持つ本来の力は以外と深く知らないものです。
ここでは、その“ほうれん草”にスポットを当て、注目の栄養成分や適した食べ方などをご紹介していきます。
緑黄色野菜の王様で栄養たっぷり?
先ずは単純に、ほうれん草に含まれる成分についてご紹介してみましょう。
ほうれん草と言えば、何をおいても鉄分。驚くことに牛レバーと同じくらいの鉄分量があるのだそうです。さらに、体の余分な塩分を排出してくれるカリウム、ビタミンCや12、βカロテン、マンガン、シュウ酸やマグネシウムのほか各種のミネラル成分を含んでいます。
貧血傾向の人が多いとされる女性のためには、特に鉄分を多く含むほうれん草が一役買ってくれそうな感じがしますね。
その他の栄養成分もビタミンやミネラル、美容に嬉しい抗酸化作用を持つβカロテンとなんだかすべてが総合的に揃った野菜といっても良さそうです。
肉や魚と同じく、ほうれん草をはじめとした緑黄色野菜は、人の健康を維持するのに必要なもの。
中には、ほうれん草の青臭さやエグみがちょっと苦手という方もいらっしゃるようですが、これだけの豊富な栄養分を含んだ野菜は意外とないようですよ。
人呼んで緑黄色野菜の王様、なんて例えを使われることもあるようです。
ただ、確かにほうれん草にはアクがあり、おひたしとして食する場合でも下茹でするのが一般的ですよね。
実はあのアクの正体、ほうれん草に含まれるシュウ酸がもたらすもので、ちょっと要注意な成分でもあるようです。
ほうれん草のアクの正体は、シュウ酸?食べ過ぎ注意!
シュウ酸はほとんどの野菜に含まれているだけでなく、あなたが普段何気なく飲んでいる緑茶やコーヒーにも含まれています。
つまり、日常の食生活にあってはそれだけメジャーな成分で、ほうれん草だけに限ったものではないことを念頭に置いておきましょう。
ではなぜ、ほうれん草のシュウ酸が要注意かといえば、その断トツな含有量ゆえの、健康への影響にあるようです。
人の体には、シュウ酸の処理能力を超えて摂取した場合に起こる病気があります。これは尿路結石の一種で、シュウ酸カルシウム結石が引き金となって起こるもの。
例えば、1日に2000㎎以上のシュウ酸を摂取した場合に発症するおそれがあると言われています。
ほうれん草1/2束(およそ100g)に対して約700㎎ものシュウ酸を含んでいるといいますから、一束分なら軽く一日の許容量近くにまでなることがお分かりかと思います。
鉄分不足は補えても、別の病気を誘発するというなら、その食べ方にも注意が必要な感じがしますね。
ほうれん草に含まれる必要な栄養成分は残しつつ、安心して食べられる。そんな食べ方やコツがあったら知りたいですよね。
【食べ方編】生で食べても大丈夫!?
欧米では、サラダとして食べたり、流行りのグリーンスムージーにしたりと生の状態で口にする食べ方が多いほうれん草。対して日本では、殆どが下茹でしたものを水でさらし、味付けするスタイルが多いように思います。
加熱してしても栄養分は大丈夫!?でも激痛を伴う尿路結石のリスクは減らしたい…。
一体どちらがほうれん草に適した食べ方なのでしょうか?
その答えは、シュウ酸の特性にあるようです。
実はシュウ酸、「水に溶けやすい」という特性を持っています。
ということは、良く洗う・茹でる・水にさらすといった日本式のスタイルが、最も適した食べ方という気がしますね。
ちなみに、必要な栄養分をできるだけ残したいという場合は、茹でるよりもレンジで加熱した方がいいようですが、その場合もやはり必ず水にさらし、ほうれん草の表面に出たシュウ酸を洗い流すことが必要なようです。
ほうれん草以外でも毎日の食事ではシュウ酸を摂り続けている可能性は大です。ほうれん草そのものの含まれるシュウ酸を洗い流すことはもちろんですが、もっと単純に水分(=水)を多めに摂ることを心がけ、体に結石ができるのを防ぐことも大切なようですよ。
まとめ
貧血気味で体調がいま一つ優れない、できればお薬よりも食事から栄養を摂りたいと考えるあなた。
ほうれん草は、下処理をきちんとすれば栄養価たっぷりの美味しい健康野菜です。ここでご紹介した注意事項を知ることで、あなたのレパートリ―がより広がるきっかけとなれば幸いです。